ビジネスコーチの秦卓民さんと、師匠の松本進さんの対談動画について、noteで何本か記事を書いてきました。

書き終えて読み返すと、話題はばらばらなのに、行き着く先は同じでした。今回はそれを、一人で事業をしている方に向けて、1本にまとめ直します。

うまくいく人は——
一、判断をする
二、主語が自分になる
三、行動をする
四、素直さと、学ぶ姿勢を持っている

順番に見ていきます。

一、判断をする

対談の中で、印象に残った言葉があります。

全人類に、決断する力がある。
そして、決断しないことも、決断である。

「まだ決めていない」という状態は、実は「今は動かない」と決めている状態です。保留しているつもりでも、時間は進んでいきます。

そして、もうひとつ大事な指摘がありました。恐怖から決めた決断は、間違いやすいということです。

恐れているとき、人は自分がどうなるかばかりを考えます。損をしないか、笑われないか、失敗しないか。視野が自分の内側に閉じるほど、恐怖は大きくなります。

だから、決める前に一度こう言葉にしてみる。

「今、恐れが私の行動を止めようとしている」

怖さを消す必要はありません。ただ、怖さに決めさせない。自分で決めたことなら、外れたときにも学びが残ります。人に決めてもらったことは、外れても学びになりません。

二、主語が自分になる

うまくいかないとき、原因は外に見つかります。景気が悪い、相手が分かってくれない、時期が悪い——。

ところが主語を相手に置いているあいだは、こちらにできることがひとつも出てきません。相手のせいにすることは、自分を不自由にすることでもあります。

主語を自分に戻すと、急に「自分にできること」が見えてきます。対談では、自分の責任として考え直したら、できることが七つも八つも出てきた、という話がありました。

そして、主語が自分になった人は、問いの向きが変わります。「相手は自分に何をしてくれるか」ではなく、こうなります。

「自分は、相手をどう満たせるか」

この姿勢が、対談で語られていたサーバントという考え方につながります。まず相手に尽くし、そのうえで導く。ただし、ここには大事な但し書きがありました。

仕えることは、従うことではない。

仕える相手は、その人の機嫌ではなく、その人のためになることです。だから、伝えにくい事実を伝えなければならない場面もあります。本当に相手のためを思うからこそ、痛いところにも触れる。ご機嫌取りとは、まるで別のものです。

あわせて、こんな言葉もありました。

お客さんは、こちらがどれだけ知識を持っているかには興味がない。
それより、本当に自分のことを思ってくれているかを見ている。

知識や実績を並べる前に、相手のことをどれだけ考えているか。順番が逆になっていないか、ときどき確かめたいところです。

三、行動をする

このシリーズで、いちばん救われたのはここでした。

成功に、必殺技はない。

特別な資格。すごい人脈。まだ手に入れていない「あれ」。それさえあればうまくいく——そう考えているあいだは、いつまでも準備が続きます。

対談で語られていたのは、逆のことでした。誰でもできることを、毎日続けているかどうか。ダイエットをしたいなら、まず歩けばいい。それだけの話なのに、私たちは特別な方法を探しに行ってしまいます。

もうひとつ、行動の前段として印象的だった話があります。タイガー・ウッズ選手は、調子が悪いときには球を打たなかったそうです。うまくいくイメージが先にない限り、体は思うように動かないから、というのが理由でした。

やみくもに量をこなすのではなく、どうなりたいかを先に描いてから動く。そのうえで、毎日の一歩を止めない、ということだと受け取りました。

今日の一歩に迷ったら、この問いが役に立ちます。

今夜寝るときに「今日は最高だった」と言えるには、
何が起きればいいですか?

四、素直さと、学ぶ姿勢

シリーズの中に、成功した7人へのインタビューの話が出てきます。「いつ、成功すると確信しましたか」と聞くと、7人とも同じ答えだったそうです。

——最初から。

実績が出たから信じられた、のではありません。始める前から、うまくいくと思っていた。ここが、伸びる人とそうでない人の分かれ目だった、という話でした。

私たちは反対に、悪かったことのほうをよく覚えています。失敗の記憶が積み上がるほど、「自分には無理だ」という前提が強くなっていきます。

そこで、こんな問いが紹介されていました。

昔は難しいと思っていたけれど、今は当たり前にできるようになったことは何ですか?
では、今は到底無理だと思うことは、何ですか?

昔できなかったことが、今はできている。その事実があるなら、今「無理」と思っていることも、同じ道をたどる可能性があります。

そしていちばん厳しく、いちばん効いた言葉がこれでした。

今までのやり方の最高傑作が、今、目の前にいるあなたです。

今の結果は、今までのやり方の答え合わせにすぎません。違う場所に行きたいなら、やり方を変える。そのために必要なのが、素直さと、学ぶ姿勢です。

学んだことを、まずそのままやってみる。そして、また学ぶ。アレンジは、その後でいい。

一人で事業をしていると、この4つは崩れやすい

ここからは、一人企業の視点で考えてみます。この4つは、一人だと特に崩れやすいと感じています。

だからこそ、仕組みで補う必要があります。決める日をあらかじめ決めておく。信頼できる人に、率直に言ってもらえる関係をつくっておく。毎日の一歩を、記録に残す。

AIは、この部分をよく手伝ってくれます。考えを書き出して整理する、決めた内容を残しておく、毎日の記録をつける——ひとりで抱えていた「見てくれる人」の役割を、いくらか肩代わりしてくれます。

ただし、決めるのは自分です。ここだけは、誰にも、何にも渡せません。

今日から使える、4つの問い

最後に、対談のまとめとして紹介されていた4つの問いを置いておきます。一日の終わりに、順番に自分へ聞いてみてください。

一、私は、判断しているか。それとも、恐れに決めさせていないか。
二、主語は、自分になっているか。
三、今日、小さくても、行動したか。
四、言われたことを、素直に受け止めたか。

全部に丸がつく日は、そう多くありません。私もそうです。でも、どれかひとつ引っかかった日は、その日に直せます。

うまくいく人が特別なことをしているわけではない——このシリーズを通して、いちばん強く感じたのはそこでした。

(文:佐藤雅代)