「社員にAIを学ばせたい。助成金は使えますか」

よくいただくご質問です。そして、この答えは2026年に変わりました。

以前のように「AI研修だから対象になる」とは、言えなくなっています。

どの制度の話か

社員の学び直し(リスキリング)に使われてきたのが、厚生労働省の「人材開発支援助成金」、その中の「事業展開等リスキリング支援コース」です。

研修にかかった経費の一部と、研修中の賃金の一部が助成される仕組みです。

このコースは、期限が決まった時限措置です。
令和8年度末までとされており、2027年4月以降の扱いは、現時点では確定していません。

2026年8月の改正で、変わったこと

2026年8月3日の改正で、こう変わったと解説されています。

職務に直結しない、汎用的なAI・DX研修は、助成対象外。

つまり、研修名に「AI」「DX」と入っているだけでは足りないということです。

あわせて、eラーニングは年度1回までという制限も入ったとされています。「とりあえずオンライン講座を受けさせる」という使い方は、しにくくなりました。

では、どうすれば対象になるのか

判断の分かれ目は、ここだとされています。

その研修は、対象者の具体的な職務に、直接必要か。

たとえば、同じ「AI研修」でも、こう書けるかどうかで変わってきます。

誰が、どの業務のために、何をできるようになるのか。ここが書けないものは、通りにくくなったということです。

申請で、いちばん多い失敗

制度の中身より先に、これを知っておいてください。

計画届は、訓練を始める前に出します。

大まかな流れは、次のとおりとされています。

  1. 計画届を提出(訓練開始前)
  2. 訓練を実施
  3. 支給申請

研修を受けてから「助成金が使えるらしい」と気づいても、間に合いません。順番が決まっています。

「研修を申し込む前に、助成金を調べる」——これだけ覚えておけば、いちばん大きな失敗は防げます。

金額について、ここでは書きません

助成率や上限額は、調べた範囲でも解説サイトによって記載が食い違っていました。改正の影響を受けやすい部分でもあります。

正確な数字は、厚生労働省と、お住まいの都道府県労働局の情報でご確認ください。労働局には相談窓口があります。民間の記事を読み比べるより、確実で早いです。

制度の前に、考えておきたいこと

今回の改正は、厳しくなったように見えます。でも、見方を変えると当たり前のことを求めるようになったとも言えます。

「全社員にAI研修」は、実のところ、あまりうまくいきません。誰が、どの仕事で、何に困っているかが決まっていないまま学んでも、現場に戻ったときに使う場面がないからです。

先に決めるのは、制度ではなく、こちらです。

  1. いま、どの業務に時間を取られているか
  2. それを担当しているのは誰か
  3. その人が何をできるようになれば、楽になるか

この3つが書けていれば、助成金の書類も書けますし、研修も成果につながります。逆に、書けないまま制度だけ探しても、途中で止まります。

関連して、AIリテラシーの底上げ、補助金の探し方(2026年度版)、申請でつまずかない5つのチェックポイントも書いています。

※ 本記事は2026年10月19日時点で公開されている情報をもとにしています。制度の要件・助成額・期限は変更されることがあり、個別の支給可否は判断できません。申請の前に、厚生労働省および都道府県労働局の公式情報でご確認ください。