「うちは現場仕事だから、AIは関係ないよ」
建設業や電気工事業の社長さんから、よくそう言われます。たしかに、配線をつなぐのも、天井に登るのも、AIにはできません。そこは変わりません。
ただ、お話を伺っていくと、別のところが出てきます。
この記事では、現場ではなく事務のほうに絞って、どこまで任せられるのかを整理します。
よくお聞きする、4つの困りごと
- 見積に時間がかかる 図面を見て拾い出し、単価を調べ、電卓を叩く。夜や休日の作業になりがちです
- メーカーごとに材料名が違う 同じ物なのに呼び方が違い、照合に手間がかかります
- 職人の勘に頼っている ベテランにしか分からない判断がある。引き継げないまま、定年が近づく
- 写真と報告書 現場写真の整理、報告書づくりが後回しになる
任せられること・任せられないこと
最初に線を引いておきます。期待のかけ違いが、いちばんの失敗要因だからです。
すぐにできること
- メーカーごとに違う材料名を、自社の呼び方に統一する
- 見積書・請求書・報告書の形を整える
- 過去の見積や台帳を整理して、探せる状態にする
- お客様への説明文、求人票、お知らせ文の作成
手間をかければできること
- 図面や条件をもとにした、見積のたたき台づくり
- ベテランの判断基準を言葉にして残すこと
できないこと
- 現場作業そのもの
- 将来の材料費を当てること 過去の値動きを整理することはできますが、来月の相場は分かりません
- 最終的な金額の決定 お客様との関係や、時期の事情まではAIに分かりません
見積は「拾い出しまで」が、ちょうどいい
見積は、いちばん時間を取られている作業です。ただ、全部を任せる必要はありません。
拾い出し、数量の計算、材料名の統一、書式づくり——ここまでをAIに任せると、残るのは「この客先に、いくらで出すか」という判断だけになります。
この部分は、長いお付き合いや、現場の事情が絡むところです。社長が決めるべきところなので、そのまま残します。
「値引きが一定以上になるときは、必ず社長の確認を通す」といった仕組みも作れます。勝手に出てしまうことはありません。
材料名の統一から始めるのが、いちばん早い
最初の一歩としておすすめなのが、ここです。
同じ材料でも、メーカーが違えば型番も呼び方も違います。見積のたびに照合していると、小さな時間が積み重なります。
自社の呼び方と、各メーカーの表記の対応表を一度作ってしまえば、以降は自動で揃います。判断が要らない作業なので、失敗がありません。効果もすぐ出るので、現場の方にも納得してもらいやすいところです。
ベテランの勘は、辞める前なら残せます
いちばん切実なのが、これだと思います。
「この現場は手間がかかる」「この条件なら受けない」——長年の経験からくる判断は、手順書に書かれていません。ご本人も、言葉にしたことがないからです。
ただ、取り出す方法はあります。過去の案件をもとに「なぜ、そう判断したのか」を聞いていくやり方です。くわしくは職人の勘を会社に残す手順にまとめました。
大事なのは、まだ現役で、毎日判断している今のうちに始めることです。引退が決まってからでは、時間が足りません。
写真と報告書も、軽くなります
現場写真の整理と報告書づくりは、後回しになりがちです。ここも、型を決めてしまえば負担が減ります。
撮った写真に、現場名・工種・日付をつけて整理する。報告書のひな形を作り、毎回同じ形で出せるようにする。お客様に出す書類の見た目が揃うと、それだけで信頼につながります。
始め方:ひとつだけ選ぶ
全部を一度に変えようとすると、現場が止まります。おすすめの進め方です。
- いちばん面倒で、判断が要らない作業をひとつだけ選ぶ(材料名の統一、報告書の型など)
- それだけを1〜2週間使ってみる
- 楽になった実感が出てから、見積や判断の部分に進む
先に小さな成功があると、職人さんも話してくれるようになります。「仕事を取られるわけじゃない」と分かるからです。順番を逆にすると、まず警戒されます。
おわりに
現場の仕事は、変わりません。変えられるのは、現場に出る前と、帰ってきてからの時間です。
見積に取られていた夜の時間、休日の書類仕事。そこが軽くなると、現場に向ける力が増えます。人が採れない時期こそ、ここが効いてきます。
「うちの場合はどうだろう」と思われた方は、無料相談でお聞かせください。何から始めるのがよさそうか、一緒に整理します。
※ 記載の内容は一般的な進め方のご説明です。実際にできる範囲や期間は、業務の内容により異なります。