「本当は、何がしたいんだろう」——やらなければいけないことは山ほどあるのに、本当にやりたいことが分からない。一人で事業をしていると、そんな瞬間があります。

その手がかりをくれるのが、ドクター・ジョン・F・ディマティーニさんの『Dr.ディマティーニの最高の自分が見つかる授業』(フォレスト出版)です。著者は人間行動学の専門家で、『ザ・シークレット』にも登場した人。「世界50か国、200万人の人生を変えた」と紹介されているメソッドがまとめられています。

人には、それぞれ「最高の価値観」がある

この本の中心は「バリュー・ファクター(最高価値)」という考え方です。人には一人ひとり、いちばん大切にしている価値観がある。それを見つけて、自分がやろうとしていることと結びつけると、やる気も集中力も、無理をしなくても自然に引き出されます。

真に満ち足りた人生を送っている人は、情熱に突き動かされるのではなく、自分の最高価値に合致したミッションに生きている。

本の中では、ガンジーの言葉も紹介されています。「信念が思考を、思考が言葉を、言葉が行動を生み、行動は習慣に、習慣は価値観になり、その価値観があなたの運命を決める」。

「すべき」ではなく、「したい」

本当の価値観の見分け方は、言葉に表れます。「〜すべき」「〜ねばならない」は、社会や周りから与えられた理想。「〜したい」で表れるものが、本当の価値観です。

そして、人がいちばん強く望むものは、人生で欠けていると感じているものを映している、という考え方も印象的でした。これまでの困難は、自分の価値観をつくってくれたものでもあるのです。

13の質問で、最高価値を見つける

本の中心になるワークが、13の質問にそれぞれ3つずつ答えるものです(以下は書評で紹介されていた要約です。正確な言葉は本でご確認ください)。

身の回りの空間を占めているもの/時間の使い道/エネルギーが湧くもの/お金の使い道/整理できているもの/頼りにでき集中できること/よく考えていること/思い描くビジョン/自分に語りかけている話題/人と話す話題/心が動かされるもの/長い目で見た目標/学びたいもの

何度も出てくる答えを抜き出し、優先順位をつけ、3か月ごとにくり返す。ポイントは、理想ではなく、実際に時間・お金・エネルギーを何に使っているかを見ることです。行動は、うそをつきません。

ほかにも、これまでの困難を10個書き出してそれぞれの恩恵を5つずつ見つけるワークや、イライラする状況が自分の最高価値にどう役立つかを考えるワークが紹介されています。

「したい」と「好き」は、同じではない

ここで大切なことがあります。「したいを生きる」は、「好きなことだけをすればいい」という意味ではありません。私は、ずっと「仕事は、自分の好き嫌いで選ぶな」と考えてきました。一見ぶつかるようですが、同じことを別の方向から言っているのだと思います。

たとえば「お客様の役に立ちたい」という最高価値を持つ人は、苦手な事務作業も、難しいシステムを覚えることも「お客様のために、したい」と思えます。本の言う「したい」は、気分の「好き」ではなく、最高の価値観から生まれる、目的を持った「したい」なのです。

本には「いちばんやりたいことに、人がお金を払ってくれる方法を考える」ワークもあります。最高価値に沿って生きることは、人の役に立つ形にしていくことでもあります。

一人で事業をしている方へ

一人で事業をしていると、日々の作業に追われて、「本当にやりたいこと」に時間を使えていないことがあります。13の質問をしてみると、自分の時間が何に使われているかがはっきり見えてきます。

もし、最高価値とは関係のない作業に多くの時間を取られているなら、それはAIに任せられるかもしれません。Masy'sでは、見積書や請求書、発信の下書きなどをAIに任せ、あなたが本当に「したい」ことに時間を使える仕組みづくりをお手伝いしています。

なお、6つのヒューマンニーズでも「6つは誰にでもあるが、どれを優先するかは人によって違う」と書きました。自分の優先順位を知ることは、最高の自分に近づく第一歩です(人の行動の裏には、6つのニーズがある)。

読むだけでは、変わらない

価値観の書き換えは一朝一夕にはできず、くり返し続けることで達成されるとされています。「この本で得られる価値は、読者のコミットの深さに比例する」。ワークに取り組んでこそ、最高の自分が見えてきます。

あなたが本当に「したい」ことは何ですか。そしてそれは、今のあなたの時間とお金の使い方に、表れているでしょうか。

紹介した本:『Dr.ディマティーニの最高の自分が見つかる授業——人生を成功加速させる世界最強メソッド』ドクター・ジョン・F・ディマティーニ 著/岩元貴久 監訳/竹井善昭 訳(フォレスト出版、2013年)

(文:佐藤雅代)